報道の自由と人権、どっちを守るべき?SNS時代に見たい映画『セプテンバー5』
第82回ゴールデングローブ賞作品賞にノミネートされた衝撃の話題作が、2025年2月14日に日本で公開されました。
平和の祭典であるオリンピックで起きた史上最悪のテロ事件を題材に、発生から終結までをノンストップで駆け抜ける映画となっています。
今回は、これまでにない緊迫感をもたらす映画『セプテンバー5』をご紹介しましょう。
9億人がリアルタイムで目撃!ミュンヘンオリンピックで何が起きたのか
1972年、ドイツ・ミュンヘンで開催された夏季オリンピック。
日本からは体操やバレーボールの選手が出場し、好成績を収めました。
しかし今大会はオリンピック史上最悪の悲劇が起こったことで歴史に名を残してしまいます。
9月5日、パレスチナの武装組織「黒い九月」によってイスラエル選手団が人質に取られる事件が発生。
全世界の人々にとって、平和の祭典がテロの脅威と対峙する緊張の一日に変わった瞬間でした。
映画『セプテンバー5』は、この事件を生放送したTVクルーを主軸に、圧倒的な緊張感を描いた作品となっています。
テロ事件報道の最前線に立たされたメディアが大切にするべきは、報道の自由か、それとも人質の安全か。
映画であることを忘れ、TVクルーのひとりとなって事件に向き合う没入感が得られると話題になっています。
メディアとしての責務は?心が乱されっぱなしの展開
オリンピック開催中、突如として鳴り響いた銃声。
選手村の方角から届いた不穏な音声に、全世界のメディアや視聴者は騒然とします。
真実を報道するため、現地のTVクルーは選手のふりをして潜入し、警察の無線から情報を得ることに成功。
犯人グループから逃げ出した人質とも接触します。
ここでインタビューを敢行すれば、視聴率は驚異的な数字になるでしょう。
しかし、恐るべき事件の被害者となった選手の人権は…?
メディアは真実を伝えることが責務なのか、それとも人命を守るために行動するべきなのか。
緊張の一瞬に向けて徐々に感情を高ぶらせてゆく、TVクルーの言動にも注目です。

リアルな没入感にゾクゾク…主人公サイドのみを映し出す巧妙な仕掛け
『セプテンバー5』の魅力は何といっても、その場にいるかのような没入感が得られること。
1972年ミュンヘンオリンピック事件と検索すれば、いくらでも情報は出てきます。
しかし、この映画では実際に当時のTVクルーが得られた情報のみが提供され、観客も一緒に信ぴょう性を精査しなければならないのです。
さまざまな情報が錯綜し、そうこうしているうちに現場から衝撃のニュースが飛び込み、見えないところで事態が大きく動く恐怖を感じるでしょう。
「どうなっているか分からない」という戸惑いや焦り、当事者の一人として最悪の事件に対処しようと奔走するリアルな感覚が観客を刺激し続けます。
『セプテンバー5』は、歴史的な悲劇を報道したメディア側の動向を描き出す異質な作品といえるでしょう。
衝撃の事件を題材にしながら、それを掘り下げることはせず、別の視点から当時の状況を極限までリアルに再現しました。
1972年ミュンヘンオリンピック事件の顛末を知っている人にもそうでない人にも、当時の緊張を追体験していただける映画です。












